令和7年2月市議会定例議会
1 はじめに
本市では、昨年4月にスタートした「鈴鹿市総合計画2031」のもと、将来都市像に「ひとがつながり DXで未来を拓く #最高に住みやすいまち鈴鹿」を掲げ、その実現に向けたまちづくりを進めております。
昨年策定いたしました「鈴鹿市人口動向分析・将来人口推計」では、2050年に、本市の人口は、約16万4千人になると推計しており、人口構造も大きく変化いたします。
将来にわたり本市が活力ある都市として、持続的に発展していくためには、人口構造の変化に適切に対応するとともに、ヒト、モノ、カネ、情報・技術といった経営資源を着実に獲得することで、人口減少を可能な限り抑止し、地域の活性化につなげていくことが最も重要であると認識しております。このことから、「鈴鹿市総合計画2031」では、人口減少抑止策と人口減少社会適応策を両輪とした「人口減少対策」と、これからの時代を見据えた「DXの推進」に全力で取り組む方向性を掲げております。
人口減少抑止に向けましては、まずは、子育て世代をはじめとする若い世代の皆様に住み続けていただけるよう、妊娠・出産期から子育ての時期に至るまで、途切れのない支援を行い、子育てがしやすい環境、こどもが安心して成長できる環境を整えてまいりました。その成果として、民間機関が実施した「自治体の子育て支援制度に関する調査」では、本市は、「共働き子育てしやすい街ランキング」で、3年連続で非常に高い評価を受けております。引き続き、時代に合った子育てニーズを把握することで、より子育てがしやすいと市民の皆様に実感いただけるように更に施策を推進してまいります。
また、本定例議会におきましては、こどもの大切な権利を明記した「鈴鹿市こども条例」の制定に係る議案を提出しております。本条例のもと、地域社会全体で、本市の未来を担う全てのこどもたちの健やかな育ちを支え合い、こどもが社会の一員として成長し、活躍できるまちづくりを進めてまいります。
このほか、人口減少を抑止するには、賑わいと活力の創造が欠かせません。昨年11月に、東京・日本橋の「三重テラス」で開催いたしました「企業立地フェア ㏌ TOKYO」では、関東圏に所在する企業や本市に立地する企業の東京本社などに対し、本市の魅力や優位性を直接アピールすることができたほか、翌日開催の「就職フェア IN TOKYO」においても、20代の若者を中心に、多くの就職相談者にお越しいただき、中には、転職を機に本市へ戻りたいという声も聴くことができました。このように本市に関心を持たれる企業や若者が潜在的に多くみえることが実感でき、確かな手ごたえを感じたところでございます。今後は、参加いただいた方々に対するアプローチやアフターフォローをしっかり行い、成果につなげていくことが重要であり、より積極的なプロモーション活動を展開してまいります。「鈴鹿市シティセールス戦略」の総括におきましても、新たな経営資源の獲得に向け、大都市圏での本市のプレゼンスを高める必要性を示しており、現在、首都圏での活動拠点となる東京事務所の開設に向け、鋭意、準備を進めております。
人口減少社会への適応については、人口構造が変化しても、質の高いサービスが持続的に提供できる仕組みを構築していかなければなりません。特に、公共交通、地域医療、教育の充実など、多くの分野におきまして、少子化、高齢化に伴う人口構造の変化の推移を的確にとらえながら、施策を推進してまいります。また、老朽化する公共建築物やインフラへの対応も喫緊の課題であり、これら公共施設等で提供されるサービスの将来的なあり方の検討を含め、行財政改革の視点を取り入れながら、公共施設マネジメントを効果的に推進してまいります。
DXの推進につきましては、令和6年度から、新たにDX推進監を委嘱し、デジタル化を加速させており、昨年10月には、生成AIを本格導入し、職員の企画立案や文書作成の補助ツールとして活用しております。また、本年1月には、デジタル母子健康手帳「すずっこ子育てアプリ」を導入し、子育てや母子保健に関するプッシュ型の情報発信、イベントや教室のオンライン予約、妊娠届出時におけるアンケートの電子化などを開始したところですが、ほかにも、職員自らが電子申請フォームを作成できるノーコード型の申請システムを導入し、業務効率化も図っております。令和7年度においては、更にオンライン申請できる行政手続も拡充してまいります。今後も、デジタル化の推進により、市民の皆様の生活利便性の向上と、効率的な行政経営に向けた仕組みへの転換を図り、本市の住みやすさを実感いただけるような施策を展開してまいります。
それでは、「鈴鹿市総合計画2031」の基本構想に掲げました6つのビジョンに沿って、市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方を申し上げます。
2 市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方
子どもが輝き 人と文化を育むまち
近年、働き方やライフスタイルが多様化しており、更に少子化が進む中、誰もが安心して子育てができ、未来を支えるこどもが安心して成長できる環境を整えることが急務となっております。そのような中で、こどもが権利の主体として尊重され、安心して健やかに育つことができるよう、今後も積極的にこども・子育て支援策を推進してまいります。
子育て支援といたしましては、妊娠・出産・産後における包括的な支援や、5歳児健診の実施など、「こども家庭センター」の機能を十分に活かし、途切れのない支援を行ってまいります。また、私立保育所等における保育補助者の雇用に必要な費用を支援し、保育士の業務負担を軽減することで、保育人材の確保及び離職防止を図り、安定的な保育サービスの提供につなげます。
このほか、子育て家庭に対しての支援を強化するため、保護者の就労要件や利用目的を問わず、2歳までのこどもを保育所等の施設に通わせることができる「こども誰でも通園制度」につきましても、令和8年度からの実施に向け、準備を進めてまいります。
教育の充実に関しましては、学力向上、教育DXの推進、不登校対策、いじめ防止に取り組むとともに、非認知能力の育成に注力してまいります。特に、教育DXの推進では、GIGAスクール構想の実現に向け、取組を推進した結果、民間調査によるICT環境に係るインフラ整備率において、本市は、小学校で全国第3位、中学校で全国第13位と非常に高い水準にございます。この環境を維持し、学力向上等につなげるために、令和2年度から3年度にかけて導入した児童生徒の一人1台端末を更新し、学習支援、オンライン授業、デジタル教科書や電子書籍の閲覧などの教育DXを更に進め、全てのこどもたちの学びを保障してまいります。
教育施設につきましては、全小中学校において、屋内運動場のエアコン設置を完了させるとともに、老朽化した教育施設の長寿命化改修等を進め、こどもたちが安心して快適に学ぶことができる環境を整えます。 また、令和8年度に開校を予定しております「(仮称)鈴鹿市立新たな小学校」につきましては、施設整備を進めるとともに、児童の安全な通学環境を確保するため、スクールバス運行の事前準備など、円滑な移行に向けた取組を進めてまいります。
そのほか、外部の民間施設等を活用し、安定して質の高い水泳授業を行う小学校の拡大や、休日における中学校の部活動の地域移行に向けたモデル事業の拡大に取り組むなど、地域の皆様にお力添えをいただきながら、教育環境の充実を図ってまいります。
文化・スポーツ分野におきましては、こどもから大人まで、全ての人が、生涯にわたり、学び、豊かに暮らしていくための環境づくりが重要であると考えております。そのため、文化・教養・生涯学習活動の拠点として、昨年リニューアルオープンした文化会館につきまして、市民の皆様に活用いただけるよう、文化事業の更なる充実を図ってまいります。
市立図書館におきましては、新たに電子書籍を導入し、インターネット上で本が読める環境を整えてまいります。子育て世代をはじめ、普段図書館を利用しづらい方などに対して、場所や時間を選ばず閲覧、貸出できる電子書籍の特性を生かし、利用者サービスの拡大を図ってまいります。
文化財におけるDXの推進として、令和6年度に、郷土資料室に収蔵しております古文書や伊勢型紙などを検索・閲覧できるデジタルアーカイブシステムを構築いたしました。令和7年4月から、本システムの運用を開始することにより、文化財への関心を高めてまいります。
スポーツ振興におきましては、引き続き、市内のスポーツ施設の利用促進を図り、市民の皆様がスポーツに親しむ環境を整えるとともに、本年2月に竣工した鼓ケ浦サン・スポーツランド内の多目的スポーツ広場を、市民の皆様に広く利用いただけるよう周知し、スケートボードをはじめとするアーバンスポーツの普及や裾野の拡大につなげてまいります。
健やかに いきいきと暮らせるまち
本年は、全ての団塊の世代の方々が75歳以上、いわゆる後期高齢者となり、医療、介護、保険、年金などの社会保障制度におきまして、給付を受ける側と、それを支える側の人口バランスが大きく変化していく時期となります。少子高齢化と人口減少が急速に進む中、高齢者や障がい者、こどもをはじめ、誰もが生きがいを持って、自分らしく、いきいきと笑顔で暮らすことができるよう、みんなで支え合う地域共生社会を実現していくことが求められております。
高齢者福祉におきましては、いくつになっても自分らしく過ごせるよう、フレイル予防、介護予防の取組などを推進し、健康寿命の延伸を図ってまいります。また、高齢化に伴い、認知症の方が増加していることから、認知症サポーターなどの、地域の応援者を増やすことや、地域における居場所づくり、認知症の方を含む全ての方にやさしい社会の仕組みづくりを進め、「認知症フレンドリーシティ」の実現を目指してまいります。さらに、50歳以上の軽度・中等度の難聴者を対象に、新たに補聴器購入費の助成を行い、聴力低下によるコミュニケーション不足を防ぐことで、認知症等の発症リスクの低減を図ります。
障がい者福祉におきましては、障害福祉サービスや放課後等デイサービスなどを安定的に提供するとともに、「障害者総合相談支援センターあい」の基幹相談員を増員し、相談支援体制を強化してまいります。
本市は、県内でいち早く子ども医療費の現物給付化に取り組むなど、こどもが安心して医療を受けられる環境を整備し、こどもの健康増進を図ってまいりました。令和7年度からは、更に、子ども医療費助成の対象年齢を15歳から18歳まで拡充し、子育て世代の経済的な負担軽減を図り、こどもが安心して医療を受けられる環境を拡充いたします。
また、市民の皆様が必要な時に質の高い医療が受けられるよう、鈴鹿中央総合病院における、がん診療医療機器の整備や、鈴鹿回生病院における最先端医療機器の導入に対する支援を行い、市内基幹病院における医療機能の強化を支援してまいります。
ひきこもりやヤングケアラーなど、市民の皆様が抱える複雑化・複合化した福祉課題や制度の狭間問題などへの対応に関しましては、令和6年度に、鈴鹿市社会福祉協議会の「くらしサポートセンター」を、健康福祉政策課内に設置し、新たな生活相談支援体制として、協働で取組を進めているところです。
今後も、体制の充実を図り、世代や属性を問わず、様々な困りごとに対応し、必要となる支援が重層的に提供できるよう、関係機関等との連携をより密にし、「相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」を一体的に推進してまいります。
生命と財産を守り抜ける 安全・安心のまち
市民の皆様のかけがえのない生命や財産を守るためには、災害対応力の強化を図る必要がございます。
令和6年能登半島地震から1年以上が経過しましたが、改めて大規模自然災害の脅威と、防災・減災、復旧・復興の困難さを痛感しております。また、令和6年8月には、初めて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表され、更に本年1月には、南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率が、これまでの「70~80%」から「80%程度」に引き上げられました。このように、大規模地震をはじめとする自然災害が、いつ発生してもおかしくない状況にございます。そのため、防災DXとして、情報収集を自動化し、避難指示などの発令判断を支援する機能や、複数の媒体に情報発信を一斉に行う機能を備えた、総合防災情報システムを新たに導入することで、災害情報を確実かつ迅速に、市民の皆様へ届けてまいります。また、備蓄物資の配備、地震解錠鍵ボックスの設置などの避難所の環境整備、地域の自主防災隊への支援など、市民の皆様の安全と安心を確保する取組を計画的に進めてまいります。
このほか、台風や集中豪雨などにおける浸水被害の軽減に向け、「鈴鹿市総合雨水対策基本計画」に基づき、河川や排水機場などの治水・浸水対策施設の整備も着実に進めてまいります。
消防・救急体制の強化につきましては、消防活動の根幹となる消防通信指令システムを、令和8年4月から津市、亀山市と共同で運用するため、三重中央消防指令センターの整備に取り組んでおります。3市での共同運用により、消防通信指令業務の効率化を図るとともに、市域境界付近の災害に対する応援・受援体制を強化いたします。
道路ネットワークの整備につきましては、近年、中勢バイパスの全線開通をはじめ、東海環状自動車道など、広域的な幹線道路網の整備が着実に進んでおり、令和7年度中には、国道23号から中勢バイパスを結ぶ鈴鹿環状線「磯山バイパス」が全線開通する見込みです。さらに、国や県に積極的な働きかけを行い、新名神高速道路をはじめとした高速道路網と直結する鈴鹿亀山道路や、国道1号と国道23号のダブルネットワーク化を実現する鈴鹿四日市道路の早期整備に向けて取り組み、交通利便性の向上及び大規模災害時におけるリダンダンシーの確保を図ることで、市民の皆様の安全・安心な暮らしと地域経済の活性化につなげてまいります。
市道につきましては、日常的に利用される生活道路の計画的な維持管理を図るほか、広域的な幹線道路のストック効果を最大限発揮させつつ、災害時における輸送機能の確保を図るために、汲川原橋徳田線や平野三日市線などの整備を引き続き推進してまいります。
自然と調和し 快適な都市環境を未来へつなぐまち
地球温暖化による気候変動が顕在化する中、快適な都市環境を実現するためには、自然環境の保全と共生を図るとともに、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取組を進めることが求められております。そのため、「鈴鹿市ゼロカーボンシティ宣言」のもと、令和6年度に実施しました、公共施設などに再エネや省エネなどの設備を効果的に導入するための調査結果に基づき、本市の実情に応じた導入に向け検討を進めてまいります。また、生活環境の保全と公衆衛生の向上を継続するため、現在、整備中のクリーンセンターのほか、今後、更新時期を迎える不燃物リサイクルセンター、清掃センター、斎苑におきましても、PFI等の手法を検討しながら計画的に更新してまいります。
地域公共交通につきましては、「鈴鹿市地域公共交通計画」のもと、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築などの実現に向けて取り組みます。その一つとして、令和6年9月から本年3月まで、新たな交通施策として、石薬師・久間田地域、一ノ宮地域の2地域で、デマンド型交通である予約型乗合タクシー「シティモビすずか」の実証運行を実施しております。今後は、6か月間の実証運行事業の結果を分析し、各地域の交通課題に対する実施効果について、評価・検証を行ってまいります。
また、本市の西部地域や南部地域の重要な交通手段であるC-BUSにつきましては、新たにバス・ロケーションシステムを導入し、利用者がスマートフォンなどから、簡単にバスの現在地を確認できるようにすることで、利便性向上を図り、利用者の拡大につなげてまいります。
快適な都市環境に欠かせない公園につきましては、魅力の向上を図り、賑わいを創出する取組を進めてまいります。特に、桜の森公園におきましては、隣接する鈴鹿医療科学大学の強みを生かし、学官連携により、薬膳を提供する施設の整備を進めてまいります。薬膳を活用した取組を進めることで、市民の皆様の健康増進や食育の推進にもつなげてまいります。
市営住宅につきましては、駐車場の整備による利用環境の向上と有料化を進めるとともに、指定管理者制度の導入を進め、居住環境の向上を図ります。空き家対策においては、地域住民の生活環境に悪影響を与える「特定空家等」が増加傾向にあるため、空き家の除却費用の助成を拡充し、生活環境の向上を図ります。
公共施設マネジメントにつきましては、「鈴鹿市公共施設等総合管理計画」及び「鈴鹿市公共建築物個別施設計画」に基づき、公共建築物保有量の適正化に取り組んでまいります。今後は、計画の実効性を更に高めるため、施設で提供されるサービスのあり方と建物の状態の両面から、課題を把握し、公共施設マネジメントを効果的に推進することで、持続的な行政サービスの提供を図ってまいります。
水道事業につきましては、施設の計画的な整備・維持管理を行うことで、市民生活や都市機能に欠かすことができない安全・安心な水道水を安定的に供給してまいります。また、災害時における水の安定供給を図るため、基幹管路の耐震化をはじめ、水管橋の耐震診断などを実施してまいります。
公共下水道事業や農業集落排水事業につきましても、汚水管の整備を進めるほか、農業集落排水処理場の長寿命化をはじめ、計画的・効率的な維持管理を行ってまいります。
持続可能な産業の発展と にぎわいや交流が生まれるまち
恵まれた産業や地域資源を維持・活用し、本市を更に発展させるためには、企業誘致などの「稼ぐ力」の強化や、安定した「雇用確保」の推進が重要でございます。
企業誘致に当たりましては、昨年4月に策定いたしました鈴鹿市企業誘致推進戦略において、「企業誘致推進エリア」を設定し、本市として積極的に産業集積すべきエリアを明確にするなど、戦略的な取組を進めております。令和7年度からは、更に、産業用地開発支援事業として、開発事業者や立地検討企業への有効なインセンティブとなる新たな支援制度を創設いたします。
市内の雇用拡大に向けましては、誰もが安心していきいきと働くことができる環境を整え、雇用創出に向けた取組を積極的に進めております。令和7年度におきましても、市内企業、高等学校、高等教育機関、鈴鹿商工会議所など、産学官が連携した「鈴鹿市雇用促進連携協議会」を中心に「鈴鹿deはたらこっ!プロジェクト」を推進いたします。本プロジェクトでは、学生や全ての求職者を対象に、市内企業のPRや市内企業とのマッチングを行うほか、企業の採用力を向上する取組などを展開し、更なる雇用拡大につなげてまいります。
地域経済の活性化に向けましては、本市独自の創業支援制度を創設し、創業時の初期費用に対する支援に加え、同支援を受けた事業者に対して、経営力強化講座を開催し、地域に根ざした事業者を育成してまいります。
農林水産業におきましては、「すずか産」農林水産物の市内消費が活性化するよう、地産地消を推進するとともに、市外への競争力も発揮できるよう本市特産品などの情報を積極的に発信するほか、スマート農業を視野に入れた生産基盤整備も計画的に進めます。また、第一次産業である農業の持続性を確保するため、農業者セミナーを開催し、農業経営に関する学びの場を提供することで、未来の農業者の育成や、経営の継続・継承を支援してまいります。
地域資源を生かした賑わいの創出に向けましては、地域事業者の支援を行うとともに、官民が連携し、地域資源の発掘や磨き上げを通して、地域資源のブランド力を高め、地域における稼ぐ力の創出を図ります。また、F1日本グランプリなど、国内外から多くの誘客が期待される機会を捉え、関係事業者等と連携し、ホスピタリティ溢れる取組を行い、多様な地域資源の魅力を効果的に発信することで、更なる交流機会の拡大を図ってまいります。
みんなで支える 自分らしく生きるまち
これまで申し上げました取組を着実に推進し、本市が将来にわたり成長し続けるためには、市全体の自治力として、市民力と行政力の双方を高めていく必要がございます。
市民力の向上につきましては、既に、市内全地域で地域づくり協議会が設立され、地域計画を策定いただき、地域の特色や課題に応じた取組が展開されております。本市といたしましても、地域づくり一括交付金による支援に加え、地域づくり支援コーディネーターなどが参画し、地域づくり協議会の皆様との連携・協力を深めながら、協働の取組を進めてまいります。
行政力の向上につきましては、人口減少社会においても持続可能な行政経営を目指し、総合計画、行政評価、行財政改革、予算、人事システムに加え、DXの推進や公共施設マネジメントの取組も連動させ、トータルマネジメントシステムの深化を図ってまいります。今後、人口減少に伴う市政への影響は、本市におきましてもより大きくなることから、仮称ではございますが、新たに「人口減少対策会議」を設置し、外部有識者等の意見も取り入れながら、より効果的な人口減少社会への対応策を講じてまいります。
同時に、新たな経営資源の獲得に向けて、ターゲットを明確にし、東京、大阪、名古屋などの大都市圏におけるプロモーション活動も強化いたします。特に、本年4月からは、本市の東京事務所を拠点に、国等の行政機関、民間企業、大学などとのネットワークづくりを進めるほか、企業誘致や雇用促進、定住人口の確保や関係人口の拡大、補助金や企業版ふるさと納税制度による寄附金の獲得などに力を入れてまいります。
また、人口減少社会への対応として、DXの推進は不可欠であり、市民の皆様が行政窓口に直接お越しいただくことなく、オンラインで証明書の取得申請等ができる環境を計画的に整えるなど、オンラインサービスの利用促進による市民サービスの質的向上を図るほか、業務効率化に向けた取組も進めてまいります。
これらの取組を進めるため、職員の人材育成におきましては、平成27年3月に改訂した「鈴鹿市人材育成基本方針」を見直し、令和7年度中に、新たな方針を策定いたします。この方針に則り、市職員の行政経営に対する意識を高めるとともに、法務能力、政策形成能力、コミュニケーション能力、職務執行能力を向上させ、時代の要請に応えることができ、市民の皆様から信頼される職員を育成してまいります。
このほか、ライフスタイルや価値観が多様化する中、誰もが自分らしく暮らしていくためには、互いに人権を尊重し、男女共同参画や多文化共生の視点を持ち、多様性を認め合う社会の実現が求められております。
本年は、本市の非核平和都市宣言40周年を迎える節目の年でございますので、「平和への祈り展」の内容を拡充するなど、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝える取組に力を入れてまいります。
男女共同参画につきましては、「SUZUKA女性活躍推進連携会議」を活用し、多様な働き方ができるよう、女性のデジタル人材育成を図ることで、女性活躍社会の実現を目指してまいります。
近年、在留制度の改変などにより、本市におきましても、外国人市民の増加と多国籍化が、より顕著になっております。そこで、令和7年度は、鈴鹿国際交流協会が、企業で働く外国人市民を対象に実施する「オンライン初級日本語教室」の取組を支援し、外国人労働者が日本語を学習できる環境を充実させてまいります。また、言葉の壁を解消する「やさしい日本語」を活用し、文化や慣習を伝え合い、国籍などの違いを超えて互いに理解し合える環境づくりを進め、更なる多文化共生社会の実現を目指してまいります。
3 むすび
令和6年度は、「鈴鹿市総合計画2031」をスタートさせ、この間、将来都市像に掲げた「最高に住みやすいまち鈴鹿」の実現に向け、全力で市政を運営してまいりました。
人口減少対策をはじめ、時代の変化を捉えたDXを推進しつつ、6つのビジョンの達成に向けた施策を着実に推進してまいりました。
市政が目指す目標は、より多くの市民の皆様が幸福を実感できる都市になることです。幸福感は、人それぞれ多様ではございますが、誰もが自分らしく暮らすことができる、そのような「最高に住みやすいまち」の実現が、基礎自治体である本市の使命であると認識しております。
今後は、人口減少対策となる施策をまとめた「笑顔あふれる鈴鹿づくりプロジェクト」をはじめ、「最高に子育てしやすいまち鈴鹿プロジェクト」、「鈴鹿市55DX推進プロジェクト」の3つのプロジェクトを中心に、本市ならではの施策を展開し、広く発信することにより、「最高に住みやすいまち鈴鹿」のブランド確立を図ってまいります。
引き続き、市政運営に対する決断力とリーダーシップを発揮し、力強い行政経営を進めてまいりますので、市議会の皆様並びに市民の皆様の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針といたします。
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