令和6年2月市議会定例議会

ページ番号1012427  更新日 2024年3月15日

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1 はじめに

 令和6年2月市議会定例議会の開会に当たり、市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方について申し述べ、議員の皆様並びに市民の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
 まずはじめに、令和6年能登半島地震にて亡くなられた多くの方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。
 本市といたしましても、地震発生翌日から、給水車による支援をはじめ、順次、現地に職員を派遣するなど、支援活動を継続的に実施してまいりましたが、一日も早い復旧に向け、引き続き被災地の状況に応じた支援を、三重県とも連携しながら、積極的に実施してまいります。
 今回の震災を通じまして、地域における人と人とのつながりや、国、県等との連携、企業や団体とのネットワークづくり、更には、被災者の避難、救急・救助活動における人員・物資などの緊急輸送を円滑に行うための道路ネットワークの重要性を改めて感じたところでございます。
 南海トラフ地震の想定震源域にある本市におきましても、地震による甚大な被害も懸念されますことから、自然災害への備えをしっかりと行い、引き続き、防災・減災の取組を進め、市民の皆様の安全・安心の確保につなげてまいります。
 また、近年、日本では、世界に類を見ない急速なペースで、人口減少・少子高齢化が進んでおりますが、国立社会保障・人口問題研究所が昨年末に公表した「日本の地域別将来推計人口」におきましては、本市の人口も2,050年には約15万7千人となり、14歳未満の人口は1割未満となる一方、65歳以上の人口は4割を超えると予測されております。
 このように本格的な少子高齢社会を迎える中におきましても、本市が更に発展し続けるために、令和6年度から8年間の本市のまちづくりの指針となる鈴鹿市総合計画2031(にいまるさんいち)のもと、持続可能なまちづくりに向けた取組を加速してまいります。
 この新しい総合計画では、人口減少抑止策と人口減少社会適応策を両輪とした人口減少対策とDXの推進に取り組むことを明確にいたしました。
 加速する人口減少を抑止し、人々の市内への定着を図っていくために、まずは、子育てしやすい環境を整え、本市の未来を担う全ての子どもたちの健やかな育ちを確保する取組を強化していく必要があると考えております。
 そのため、子どもたちの権利を守り、地域社会全体で支え合うまちづくりの実現に向け、子ども条例の制定を進めてまいります。
 また、子育て世帯の経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境づくりにも注力してまいります。
 その一つとして、子ども医療費につきましては、窓口無料化を県内で初めて実施するなど、これまで本市が先導する形で取組を進めてまいりましたが、引き続き、全国一律の助成制度の創設を国に求めていくとともに、更に安心して子育てができる環境を整備するため、令和7年度を目途に、助成制度の対象と窓口無料化を18歳までに拡大したいと考えております。
 さて昨年は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行し、多くのイベントが再開され、コロナ禍以前の日常を取り戻した年でもありました。
 新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、地域経済を支える産業への打撃や、医療現場のひっ迫、地域コミュニティの希薄化など、私たちの暮らしに大きな影響を与えました。
 しかし一方で、デジタル技術の活用によるオンライン化が進み、時間と場所にとらわれない働き方や、キャッシュレス化、ペーパーレス化が進展し、ビジネススタイルやライフスタイルに変化をもたらしました。
 私たちは、コロナ禍を乗り越えてまいりました。そしてこれからも、この大きな経験を未来に生かすべく、デジタル技術をはじめとする、これからの時代に合ったものを積極的に取り入れながら、市民の皆様に住みやすいと感じていただけるようなまちづくりを進めていくことが重要であると考えております。
 そのため、外部人材や最新のソリューションを活用しながら、行政サービスのデジタル化を加速させてまいります。
 DX推進の取組といたしましては、生成AIの本格的な活用をスタートさせるとともに、行政手続のオンライン化を進め、行政経営の効率化と住民サービスの向上につなげてまいります。
 そして、このような人口減少対策やデジタル技術を活用した新たな取組を着実に成果につなげていくため、本市ならではの政策や主要事業を市内外に広くアピールするシティプロモーションを展開し、本市のプレゼンスを高め、都市のイメージ向上や交流・関係・定住人口の増加を図ってまいります。
 この新しい総合計画のもと、市民の皆様に希望と期待をもっていただけるような施策を展開し、市政を前進させ、本市の更なる発展・飛躍につなげてまいります。
 それでは、鈴鹿市総合計画2031(にいまるさんいち)の基本構想に掲げました6つのビジョンに沿って、市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方を申し上げます。

2 市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方

子どもが輝き 人と文化を育むまち

 まず、子育て支援、教育、文化・スポーツの分野につきましては、「子どもが輝き 人と文化を育むまち」を掲げ、市政を運営してまいります。
 冒頭申し上げましたとおり、少子化は深刻な問題となっており、特に、核家族化や地域の関わりの希薄化などが進み、子育てに不安を感じる子育て世代が増えております。
 そのため、本市におきましては、これまで妊娠・出産期から子育ての時期に至るまで、途切れのない支援に力を入れてきたところでございますが、令和6年度からは、母子保健の機能と児童福祉の機能を併せ持つ「こども家庭センター」を設置し、一体的な支援につなげてまいります。専門性のある職員が妊娠期から支援を行うことにより、子育てに対する不安感の軽減を図り、子育てしやすい環境を整えてまいります。
 母子保健分野におきましては、退院直後の母子に対して、心身のケアや育児のサポートなどの、きめ細かな支援を行う産後ケア事業の利用対象を緩和するとともに、所得に応じた自己負担額とすることで、産後も安心して子育てができる支援体制の確保につなげてまいります。
 乳幼児の健診事業では、母子保健法により実施しておりました1歳6か月児及び3歳児に対する健康診査、乳児期の4か月児、10か月児の健康診査に加え、新たに1か月児健康診査を実施してまいります。
 これにより、出産後から途切れのない健康診査の実施体制を整えることができ、疾病の早期発見や育児の相談機会の拡大などの効果が期待され、早い段階から専門機関の支援につなげることができるものと考えております。
 また、児童福祉分野では、本市独自に小学校入学前から、子どもの発達状況を早期に把握し、支援につなげていくために、5歳児全員を対象とした「5歳児健診」を実施しております。全国的にも先進的な取組であり、令和元年度から本年度までの5年間の蓄積された健診記録のデータを活用・分析することにより、鈴鹿の子どもたちの更なる効果的な支援につなげてまいります。
 これらに加えまして、母子健康手帳のデジタル化を行うことにより、子育てや母子保健に関するプッシュ型の情報発信、イベントや教室のオンライン予約、産後アンケートの電子化などが可能となり、更なる住民サービスの向上につなげてまいります。
 次に、教育分野につきましては、令和6年度からの次期鈴鹿市教育大綱におきまして、本市の「めざす子どもの姿」を「人とつながり自ら豊かな未来を切り拓く鈴鹿の子ども」といたしました。
 自らが暮らす地域や社会がより良いものとなるよう、その形成に主体的に参画することができる子どもたちの育成を目指し、取り組んでまいります。
 まずは、子どもたちが、これまでとは大きく異なる超スマート社会・Society5.0におきましても、豊かに学び、働き、暮らしていくため、これまで取り組んでまいりました学力向上に加え、非認知能力を育むことに力を注ぐとともに、教育DXを推進してまいります。
 具体的には、指導者用デジタル教科書及びデジタル教材を活用し、学力向上に取り組むとともに、中学校に電子図書システムを導入いたします。
 一人一台の端末を活用し、電子書籍を貸し出すことで、時間や場所を選ばず、読みたい本を読むことができるため、子どもたちの読書活動が促進できるものと考えております。
 さらに、子どもたちが安心して快適に学ぶことができるよう、学校施設の整備を計画的に進めてまいります。
 小中学校の屋内運動場につきましては、低コスト送風型エアコンの設置を令和6年度と令和7年度の2カ年で進めてまいります。
 屋内運動場へのエアコン設置は、子どもたちの熱中症対策だけでなく、災害時における避難所の環境改善にもつながるものと考えております。
 豊かな経験や高い見識を有する地域の方々に協力いただき、授業などを行う「すずか夢工房」につきましては、「未来応援人~FOR YOUR FUTURE~」として、事業内容をリニューアルいたします。
 リアルとデジタル、人との出会いと教育DXの最適な組合せによる事業を展開するとともに、主権者教育や環境教育の分野を追加するなど、より効果的な学びの場となるよう取り組んでまいります。
 また、少子化が進展する中、本市では、国のガイドラインに基づき、中学校の休日における部活動の地域移行に向けた準備を進めております。
 教員の働き方改革だけではなく、生徒にとりましても、より専門的な指導を受けることが可能となり、地域においてもスポーツ・文化活動の活性化につながることから、中学校の休日部活動の地域連携、地域移行に向けた環境の一体的な整備・充実を図ってまいります。
 文化やスポーツ分野につきましては、子どもから大人まで、全ての人が、生涯にわたり、学び、豊かに暮らしていくための環境づくりが重要であると考えております。
 文化会館につきましては、本年、長寿命化工事を終え、新たに多目的ドームを整備するなど、市民の皆様に文化・教養・生涯学習活動の拠点として活用いただける環境を整え、文化事業の更なる充実を図ってまいります。
 スポーツ振興につきましては、鼓ケ浦サン・スポーツランド内の既存のクリケットコートを改修し、スケートボードなどのアーバンスポーツを中心とした多目的スポーツ広場を整備してまいります。
 新たなニーズに対応することで、スポーツ愛好家や施設利用者の増加を促進し、スポーツ振興につなげてまいります。

健やかに いきいきと暮らせるまち

 次に、健康福祉の分野につきましては、「健やかに いきいきと暮らせるまち」を掲げ、市政を運営してまいります。
 令和7年以降は、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となることから、医療、介護、保険、年金などの社会保障制度におきまして、給付を受ける側と、それを支える側の人口のバランスが大きく変化してまいります。
 このように超高齢社会が急速に進む中、高齢者や障がい者の皆様をはじめ、誰もが生きがいを持って、自分らしく、いきいきと笑顔で暮らしていくことができるよう、みんなで支え合う地域共生社会を実現していくことが求められております。
 このため、将来にわたり、医療や保険、福祉のサービスが安定的に提供され、必要な時に安心して受けられる体制の構築に向けて取り組んでまいります。
 また、医療や介護が必要な状態となっても、可能な限り住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、引き続き、地域包括ケアシステムの取組を推進、深化させてまいります。
 特に、疾病予防・介護予防・フレイル予防などの一体的実施による健康寿命の延伸に取り組むとともに、在宅医療と介護の持続的な提供体制の維持や住まいの確保など、自立を支える生活支援に取り組んでまいります。
 また、近年、高齢者人口の増加や平均寿命の延伸に伴い、認知症の方が増加しておりますので、本市では、「認知症フレンドリーシティ鈴鹿」を宣言し、認知症の方が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、誰もが暮らしやすい社会の仕組みづくりを進めてまいりました。
 今後も、あらゆる立場の方々の参画を促し、認知症サポーターなど、地域の応援者の養成や、地域における居場所づくり、スローショッピングなど、認知症の方を含む全ての方にやさしい地域社会の仕組みづくりを推進してまいります。
 さらに、近年は、「ひきこもり」や「ヤングケアラー」などの複雑化・複合化した課題も顕在化しております。
 これまでの子ども、高齢者、障がい者、生活困窮者の方などに対する福祉サービスの安定的な提供に取り組むとともに、市民の皆様が抱える複合的な福祉課題や制度の狭間問題などにも効果的に対応できる仕組みを整えてまいります。
 そのために、世代や属性を問わず、様々な困りごとに対応し、必要となる支援が重層的に提供できるよう、関係機関や地域間の情報共有や連携をより円滑に行いながら、「相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」を一体的に実施する包括的な支援体制を構築してまいります。
 安心して暮らしていくためには、誰もが必要なときに医療が受けられる環境も欠かせません。
 このため、医療提供体制の整備といたしまして、本市の地域医療を中核的に担っていただいている鈴鹿回生病院の救命救急センターに対する支援を行い、二次救急医療機関における救急医療施設の機能強化を図ってまいります。
 また、風しんワクチンの接種につきましては、現行の助成制度を拡充し、生まれてくる赤ちゃんの「先天性風しん症候群」の発症予防を目的に、妊娠を予定・希望されている女性やその配偶者などの同居者への接種を新たに対象とすることで、安心して子どもを産み育てる環境を整えてまいります。
 このほか、若いうちにピロリ菌の除去を行うことが胃の病気の予防に効果的とされておりますことから、次世代を担う子どもたちの健康の保持・増進を目的として、中学生に対するピロリ菌検査を実施し、将来的な胃がんによる死亡リスクの軽減を図ってまいります。
 今後も持続的な福祉・医療サービスの提供体制を確保し、人生100年時代と言われる中におきましても、市民の皆様一人ひとりが、安心して健康に暮らしていける社会を築いてまいります。

生命と財産を守り抜ける 安全・安心のまち

 次に、防災や防犯、消防の分野では、「生命と財産を守り抜ける 安全・安心のまち」を掲げ、市政を運営してまいります。
 令和6年能登半島地震におきましては、より確実な情報伝達の重要性が再認識されたところでございます。
 災害時における情報伝達をより効率的・効果的に行い、市民の皆様の安全と安心を迅速に確保するため、現在の防災行政無線の仕組みを整理し、新たな総合防災情報システムの導入に向けて、調査設計を進めてまいります。
 また、収容避難所におきましては、地震開錠ボックスを段階的に整備してまいります。これにより、避難者自らが避難所の開設を行えるなど、より迅速な対応が可能となるものと考えております。
 さらに、大規模な災害が発生した場合に備え、外部からの人的物的支援を円滑に受け入れ、効果的な災害応急対策や迅速な被災者支援、更には災害復旧・復興に取り組むことを可能にするため、「受援計画」を策定いたします。
 市域境界付近の災害に対する応援・受援体制につきましては、津市、亀山市と消防通信指令システムの共同運用を行い、体制強化を図ってまいります。
 また、近年、気候変動の影響により、台風や集中豪雨などの自然災害による被害が頻発・激甚化しております。
 そのため、浸水被害の軽減に向けた取組として、鈴鹿市総合雨水対策基本計画に基づき、引き続き、河川や排水機場などの治水・浸水対策施設の整備を着実に進めてまいります。
 また、令和6年度は、大雨や地震を想定した、中部7県による緊急消防援助隊中部ブロック合同訓練が本市をメイン会場として開催されますので、本市の総合防災訓練も併せて実施いたします。自助・共助を中心とした実践的な訓練を行うことで、災害時の対応強化を図ってまいります。
 次に、市民の皆様の安全・安心に寄与する幹線道路ネットワークにつきましては、昨年11月の国道23号中勢バイパスの全線開通や、鈴鹿亀山道路の本格的な事業開始など、大きな成果が得られた年となりましたが、このような広域的な幹線道路網の整備が着実に進んでおりますことを最大限に生かしながら、企業誘致や賑わいづくりにつなげてまいります。
 さらに、新名神高速道路をはじめとした高速道路網と接続する鈴鹿亀山道路や、国道1号と国道23号のダブルネットワーク化を実現する鈴鹿四日市道路の早期整備に向け、引き続き、国や県に強く働きかけてまいります。
 また、広域的な幹線道路のストック効果を最大限発揮するとともに災害時における輸送機能の確保を図るため、市道汲川原橋徳田線や平野三日市線などの関連する道路の整備を進めてまいります。
 生活道路の維持管理につきましては、小規模修繕や雪氷対策などを包括的に通年でJVに業務委託を行う地域維持型維持修繕業務委託を西部と北部の2ブロックで導入しており、修繕対応の迅速化に寄与しておりますことから、対象ブロックを順次拡大し、住民サービスの更なる向上につなげてまいります。

自然と調和し 快適な都市環境を未来へつなぐまち

 次に、環境、都市整備、上下水道の分野につきましては、「自然と調和し 快適な都市環境を未来へつなぐまち」を掲げ、市政を運営してまいります。
 地球温暖化による気候変動が顕在化する中、快適な都市環境を実現するためには、自然環境の保全と共生を図るとともに、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル社会の実現に向けた取組を進め、地域から貢献していくことが求められております。
 そのため、「鈴鹿市ゼロカーボンシティ宣言」のもと、地域新電力会社、鈴鹿グリーンエナジー株式会社の再生可能エネルギーを市有施設に活用することで、電力の地産地消に取り組んでいるところでございます。
 令和6年度は、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を更に加速するため、再エネや省エネなどの設備を効果的に公共施設などに導入するための調査を進めてまいります。
 また、公衆衛生の向上を図るため、これまで準備を進めてまいりました鈴鹿市クリーンセンターの整備に着手してまいります。
 次に、本市の重要課題である地域公共交通につきましては、学生や高齢者などの自ら広域の移動手段を持たない市民の移動手段の確保が求められています。
 そのため、鈴鹿市地域公共交通計画のもと、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築などの実現に向けた取組を進めているところであります。今後は、市民の皆様の移動ニーズに応えるための新たな手段として、デマンド交通の実証運行事業を実施いたします。
 この事業により、将来的なデマンド交通の導入可能性の検証を行い、地域の移動に関する困りごとの解消につなげてまいります。
 また、令和5年度に、都市公園における賑わいの創出、交流・関係人口の拡大を進めるため、市内375公園を対象として、サウンディング型市場調査を実施いたしました。
 この調査により、候補となりました鈴鹿フラワーパークなどの公園緑地につきましては、令和6年度に市場性や採算性について詳細調査を行った上で、令和7年度にPARK-PFI制度を導入し、官民連携による事業を進めてまいります。
 また、桜の森公園につきましては、隣接する鈴鹿医療科学大学との学官連携により、公園の積極的な利活用の促進を図ってまいります。
 水道事業につきましては、市民生活や都市機能に欠かすことができない安全・安心な水道水を安定的に供給するため、施設の計画的な整備・維持管理を行ってまいります。
 また、災害時における水の安定供給を図るため、引き続き、基幹管路の耐震化を進めてまいります。
 下水道事業におきましては、公共下水道管路の効率的な維持管理を進めるため、官民連携を視野に入れたウォーターPPP導入可能性調査を実施いたします。

持続可能な産業の発展と にぎわいや交流が生まれるまち

 次に、産業の分野につきましては、「持続可能な産業の発展と にぎわいや交流が生まれるまち」を掲げ、市政を運営してまいります。
 本市の恵まれた産業や地域資源を維持・活用し、本市を更に発展させるためには、「稼ぐ力」を強化するとともに、安定した雇用を確保し、誰もが安心していきいきと働くことができる環境を整えることが重要であると考えております。
 そのため、鈴鹿市都市マスタープランにおける市街地形成検討地区(工業系)、新土地需要エリア及びスマートIC利活用エリアに加え、鈴鹿市企業誘致推進戦略におきまして、「企業誘致推進エリア」を設定するとともに、新たな支援制度の創設を検討し、更なる企業誘致につなげてまいります。
 また、昨年3月に完成した鈴鹿椿工業団地をはじめ、市内への企業誘致やUIJターン就職の促進を図るため、令和6年度に、東京都内におきまして、企業誘致と雇用促進の合同イベント「企業立地&雇用サポートフェア」を開催いたします。
 市内の雇用拡大に向けましては、市内企業、高等学校、高等教育機関、鈴鹿商工会議所など、官民が連携した「チーム鈴鹿」による「鈴鹿deはたらこっ!プロジェクト」を推進してまいります。
 このプロジェクトは、コロナ禍を経て変化が見られる若者の価値観や雇用形態の多様化に合わせた求職者向け事業のほか、企業向けセミナーなど、積極的で効果的な事業を継続して行うことで、雇用の創出を図ろうとするものでございます。
 人口減少が加速する中、自治体間競争が一層激化しておりますが、その中でも、本市が「選ばれる自治体」となるため、地域資源そのもののブランド力を高め、その魅力を内外へ効果的に発信していく必要がございます。
 農林水産業におきましては、鈴鹿市地産地消推進計画のもと、みどりの食料システム戦略や農業DXなどの考え方を取り入れながら、「すずか産」農林水産物の市内消費が活性化するよう地産地消を推進し、更には市外への競争力も発揮できるよう本市特産品などの情報を積極的に発信してまいります。
 また、第一次産業の持続性の確保及び食料安全保障の確立に向けて、効率的かつ安定的な経営を目指す担い手を確保・育成するとともに、ほ場整備事業などの農業生産基盤の整備や、担い手への農地の集積・集約化を進めるなど、農林水産物の生産性向上を図ってまいります。
 地域経済の活性化や、本市の財源確保を図るための取組であります、ふるさと納税につきましては、現地決済が可能な端末の導入など、新たな手法を取り入れるとともに、返礼品の充実を図ることにより、寄附額の拡大を図ってまいります。
 さらに、本市の貴重な地域資源であるモータースポーツにつきましては、先般、地域活性化を目的に、スーパーフォーミュラを主催する団体と連携協定を締結いたしました。
 モータースポーツを通じた官民連携を進め、本市の魅力を広く発信してまいります。
 また、新しい交流機会の創出に向けましては、近年、若年層を中心に人気が高まるeモータースポーツの活用など、本市の強みを生かした観光誘客の取組を推進してまいります。
 本年4月には、初めての春開催となる自動車レースの最高峰、F1日本グランプリが予定されております。
 このような国内外から多くの誘客が期待される機会を捉え、関係事業者と連携し、ホスピタリティ溢れる取組を行うことで、市内における交流機会の拡大を図ってまいります。

みんなで支える 自分らしく生きるまち

 次に、共生社会の実現、市全体の自治力の向上につきましては、「みんなで支える 自分らしく生きるまち」を掲げ、市政を運営してまいります。
 まずは、住み良いまちづくりの大前提となる、平和な社会や市民の皆様一人ひとりの人権が尊重される明るい社会の実現に向け、引き続き取り組んでまいります。
 多文化共生社会の実現に向けましては、外国人集住都市として、国籍などの違いを超えて互いに理解し合える環境づくりに取り組んでまいりました。
 本市の外国人人口につきましては、令和4年度以降、増え続けており、来年度には現行の技能実習制度に替わる新たな在留制度が創設されることにより、今後ますます外国人市民の増加と多国籍化が予測されております。
 そのため、やさしい日本語や多言語通訳タブレットの更なる活用を図り、情報発信や相談体制における多言語化に対応してまいります。
 男女共同参画社会の実現に向けましては、性別にかかわらず誰もが活躍できるまちづくりに先進的に取り組んでまいりました。本市における審議会などの女性委員の登用率は、全国的に高い水準にあり、防災会議におきましては、全国で上位に位置しております。
 引き続き、「SUZUKA女性活躍推進連携会議」において、雇用・就職面での情報共有や女性デジタル人材の育成を進めるなど、民学官一体で女性活躍推進に取り組んでまいります。
 市民力の向上につきましては、人口減少・少子高齢化の加速に加え、社会情勢の変化に伴う地域活動の停滞により、地域のつながりの希薄化が課題となっております。
 そのため、鈴鹿市総合計画2031に掲げました目標をみんなで共有し、地域づくり協議会をはじめとした多様な主体と連携・協力し合いながら、持続可能なまちづくりに向け、取り組んでまいります。
 行政力の向上につきましては、多様化する市民ニーズや新たな行政課題に的確に対応し、また、市民の皆様から信頼される職員を育成するため、OJTや人事評価制度などにより、人材育成を行ってまいります。
 職員の資質向上につきましては、三重大学におけるリカレントを目的とした教育プログラムの受講を新たに研修に取り入れ、DXの推進に寄与するデジタルスキルや企画・政策立案能力の向上を図ってまいります。
 住民窓口におきましては、新たな窓口案内システムを導入し、混雑状況をウェブで確認できるようにするなど、窓口サービスの向上を図ってまいります。
 来年度は、4月のF1日本グランプリを皮切りに、10月には、全国重要無形文化財保持団体協議会の総会や、東海4県の各市長が参加する東海市長会総会などが本市で開催される予定でありますことから、市内外に広く本市の政策や魅力をアピールできる絶好の機会であると考えております。
 そのため、本市をイメージするポスターや動画を作成し、様々なイベントや催しで活用するなど、より効果的なシティプロモーションを展開してまいります。
 

3 むすび

 結びに、近年、人口減少や少子高齢化が加速する一方で、生成AIのような革新的な技術が生まれ、日進月歩で進化しております。
 このような時代の中で、本市が、今後も持続的に発展していけるよう、4月からスタートする鈴鹿市総合計画2031では、将来都市像として「ひとがつながり DXで未来を拓く #(ハッシュタグ)最高に住みやすいまち鈴鹿」を掲げました。
 この将来都市像の実現を図ることで、市民の皆様に、「住みやすい」、「いつまでも住み続けたい」と感じていただけるようなまちづくりを進めてまいります。
 鈴鹿市総合計画2031を着実に推進し、市民の皆様に元気でいきいきと活気のある生活をしていただけるよう、市政運営に対する決断力とリーダーシップを発揮し、力強い行政経営を進めてまいりますので、引き続き、市議会の皆様並びに市民の皆様の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

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