令和2年2月市議会定例議会

ページ番号1010047  更新日 2024年3月15日

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 令和2年2月市議会定例議会の開会に当たり、市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方について申し述べます。

1 市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方

はじめに

 現在、日本社会は、本格的な人口減少の局面に突入しており、全国各地で地方創生が声高に叫ばれる中、AIや5G、自動運転などの未来技術を活用した超スマート社会の形成や、まちづくりの担い手としても期待される関係人口の創出、SDGsなど、新たなキーワードも唱えられております。

 このような方向性も積極的に取り入れつつ、未来においても、市民の皆様から常に選ばれる都市として、輝き続けるために市政を前進させてまいります。

 そのために、これまで市民の皆様が笑顔で元気になることを目標に、子育て・教育、防災・減災、産業振興・経済対策の取組に種を撒くことに力を入れ、それらを成長させ花を咲かせることで、鈴鹿の未来づくりの礎を築くことに力を注いでまいりました。

 公立小中学校へのエアコン整備や教育ICT環境の整備、5歳児健診や子ども医療費助成の拡充などについては、少子化社会においても、鈴鹿の未来を担う子どもたちが安心して成長できる環境づくりのために、特に力を入れて取り組んできたところです。

 一方で、超高齢社会においても、市民の皆様が生きがいを持って健康で暮らせるよう、福祉・医療・健康づくりに関する取組にも注力し、健康長寿社会の実現をめざした施策も進めてまいりました。これらの施策を引き続き推進し、更に大きな花を咲かせることができるよう取り組んでまいります。

 また、これからは市民の皆様が安心して生活できる地域社会の実現が何よりも不可欠であると考えます。防災・減災をはじめ、誰もが円滑に移動できる社会、多様な市民の皆様が活躍できる社会、全市的な地域づくりをはじめ、市民の皆様が主役となる社会の実現に向けた施策にも注力してまいります。

 4月からは、鈴鹿市総合計画2023後期基本計画がいよいよスタートいたします。総合計画の着実な推進を図るとともに、本市の未来デザインを思い描きながら、令和という新たな時代の環境づくりを進めてまいります。

 それでは、総合計画に掲げました5つの「将来都市像を支えるまちづくりの柱」と「自治体経営の柱」に沿って市政運営の基本方針及び予算編成に対する基本的な考え方を申し上げます。

大切な命と暮らしを守るまち すずか

 近年は、非常に多くの自然災害に見舞われており、昨年は、台風第15号・第19号が相次いで関東方面へ上陸するなど、全国各地で痛ましいほど甚大な被害が発生しました。

 また、三重県内でも発生した豚熱による家畜伝染病については、本市も対策本部の設置要領を施行し、感染拡大防止のための支援に力を入れてまいりました。
 さらに、今年に入り、中華人民共和国湖北省を中心に発生した新型コロナウイルス感染症が世界各地に広まっており、本市でも、全庁的な情報共有を図り、迅速かつ的確な対応を講ずるため、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置したところです。

 このように、大規模自然災害や国際的な危機管理事案などから20万人市民の皆様を守るためにも、自助・共助・公助の連携による防災・減災力の強化を図るとともに、本市の危機管理能力を一層強化してまいります。

 発災時には、まずは自らの力で、大切な命を守ることが不可欠となります。

 そこで「自助」を支援する取組といたしましては、被害を最小限に抑え、自分自身や家族の命を確実に守っていただくために、住宅耐震化や、災害時要援護者宅における家具転倒防止策を引き続き支援してまいります。

 また、「共助」による防災・減災力の更なる強化について、地域づくり協議会と連携し、地域ごとの災害特性に応じた対応ができるよう地区防災計画の策定支援を積極的に行ってまいります。

 「公助」の取組といたしましては、南海トラフ巨大地震をはじめ、気候変動の影響による風水害など、大規模自然災害の発生の確率が高まる中、地震による津波への備えといたしまして、民間施設の津波避難ビルの指定拡大に向け、国の支援制度なども活用しながら、引き続き市独自の補助制度を拡充し、一時的な避難場所の確保を図ることで、市民の皆様の避難行動を支援いたします。

 併せて、地震津波災害等により住居を失われた方が、一定期間避難生活を送ることができるよう、津波対応収容避難所の非常電源の整備を計画的に進めてまいります。
 火災・救急体制の強化については、複雑化・多様化する消防・救急需要に対応するため、引き続き消防職員や消防団員の災害対応能力の向上を図るほか、亀山市と共同購入するはしご車などの消防車両をはじめ、高規格救急車や消防施設の計画的な整備を進めてまいります。

 また、火災による被害の軽減については、通報から現場までの到着時間を短縮させ、効果的な救命措置の実施をより可能とするために、天名地区において新消防分署及び消防分団の施設整備に着手します。

 救急については、119番通報時に応急手当てを適切に実施することで救命率の向上を図るために、通報者に対して、口頭で救命措置を指導する手順を示した、口頭指導プロトコルの適正運用を進めてまいります。

 交通事故については、近年、歩行者が巻き込まれる痛ましい交通事故が多発しております。このため、関係機関と連携し、交通安全教室や街頭啓発をはじめとした教育・啓発活動を推進するとともに、高齢運転者の交通事故防止、安全な交通環境の整備に向けた危険箇所点検の実施、危険な交差点における防護柵の設置、区画線などの適正管理を推進することで、交通事故発生件数の減少を図ってまいります。

 防犯については、犯罪に対する市民の皆様の不安解消に向け、鈴鹿警察署や鈴鹿市防犯協会、自主防犯ボランティア団体などの関係機関と連携し、街頭啓発活動などを実施するとともに、駅周辺の自転車駐車場への防犯カメラの設置を今後も計画的に推進してまいります。

子どもの未来を創り 豊かな文化を育むまち すずか

 少子化は過去に類を見ない速さで進んでおり、2019年における本市の年間出生数は1,500人を下回っており、少子化対策は喫緊の課題です。

 少子化は社会全体に対して様々な影響を及ぼしますが、何よりも将来を支える子どもたちが安心して生活できる社会を築くとともに、その成長を支える環境を整えていく必要がございます。

 まず、子育て支援については、保護者の不安感や孤立化の解消などを図るために、身近な相談場所の拡充に取り組み、安心して子育てができる環境づくりを進めます。

 4月には、市内の公立保育所の拠点施設となる西条保育所が開所いたしますので、病後児保育や一時預かり保育などの特別保育事業の実施や、更なる保育サービスの充実を図るため、土曜日の一日保育事業をスタートし、市民の皆様の多様な保育ニーズに応えてまいります。

 幼児教育・保育に関しては、昨年10月から保育料などの無償化が始まっていますが、子育て世代をより積極的に支援するために、公立・私立保育所、私立認定こども園の保育料算定時の多子計算に係る年齢制限を撤廃し、多子世帯における保育料の負担軽減を図ってまいります。

 また、私立保育所等における保育士の業務負担の軽減を図るため、通訳や清掃業務など保育に係る周辺業務を行う者の配置支援を行います。

 更に、途切れのない支援として、集団生活に困難を抱える就学前の児童を早期発見、早期支援するため、満5歳児全員を対象とした5歳児健診を引き続き実施し、定着させてまいります。

 健診後のフォロー体制についても、「すずっこスクエア」において、児童や保護者の支援の相談窓口の一本化と、専門職による相談体制の充実を図るなど、地域子育て支援拠点施設を核とした人材育成、啓発活動、環境整備を行っていくことで、家庭、教育、福祉の積極的な連携が図られる体制を構築してまいります。

 教育においては、少子化、グローバル化、情報化が一層進み、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化しております。

 特に、予測困難なこれからの社会においては、子どもたちが社会の変化に適応し、自ら学び、判断して行動し、未来を切り開くための生きる力を培う教育が求められています。

 そのため、2020年度から順次実施される新学習指導要領へ着実に対応するための取組を進めていかなければなりません。

 英語教育については、外国人指導助手や英語アシスタントの派遣により、様々な国の人々と積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度及び基礎的英語力の養成を図ります。

 プログラミング教育への対応や、学力向上に向けては、これまで教育情報化推進事業としてICT環境の整備を進めてまいりました。

 引き続き、より質の高い授業を行う環境を整えるために、学習用ICT機器を積極的に活用し、子どもたちが分かりやすく、一人ひとりの能力や特性に応じた学びが実現するよう取り組むほか、校務の情報化を図ることで教職員の働き方改革を進めてまいります。

 さらに、障がいの有無にかかわらず尊重し合える態度の育成をめざした特別支援教育の推進や、家庭や地域と連携した学校づくりを推進するためにコミュニティ・スクールの取組の活性化を図るほか、生きる力の基本的な要素となる知・徳・体のバランスの取れた力を修得できるよう、道徳教育の推進や体力向上などにも積極的に取り組みます。

 また、子どもたちが安全で、安心して学ぶことができる教育環境を充実させるために、学校施設の老朽化対策として、大木中学校校舎や石薬師小学校屋内運動場の整備を進めるほか、保護者や教職員から多くの改善要望がありました公立小中学校のトイレ洋式化・乾式化に順次取り組むことで、子どもたちの教育環境を充実させてまいります。

 次に、市民の皆様の健康で文化的な生活を実現するための文化・スポーツの振興でございます。
 文化振興については、市民の皆様が気軽に文化に触れることができ、芸術文化を楽しむ機会を今後も確保するほか、市の豊かな歴史や文化財に触れていただく機会を設け、郷土への誇りや愛着心の醸成を図ってまいります。

 4月には(仮称)史跡 伊勢国分寺跡 歴史公園が開園いたしますことから、政治や交通の要衝として、本市がこの地域の中心地として栄えてきた歴史を広く発信するため、地域づくり協議会との協働により竣工イベントも実施してまいります。

 昨年はラグビーワールドカップが大きな盛り上がりを見せ、更に2020年度は東京オリンピック・パラリンピック、2021年度には三重とこわか国体・三重とこわか大会が開催されます。

 2020年度は、本大会に先立ちリハーサル大会として、5競技7種目の競技も行われることから、国体開催に向けた準備体制の構築と機運の醸成を図ってまいります。

 三重県における国民体育大会は、46年ぶりの開催となりますが、本市では、三重交通Gスポーツの杜をはじめ、AGF鈴鹿体育館など市内の各施設で8競技11種目と非常に多くの正式競技が実施されます。

 このため、AGF鈴鹿体育館の大規模改修工事や、市立テニスコート照明のLED化改修工事が完了することに加え、更に石垣池公園野球場の照明設備の改修に取り組むなど、より良好な環境を整備してまいります。

みんなが輝き 健康で笑顔があふれるまち すずか

 超高齢社会への対応は重要な課題でありますが、現在の本市の人口予測では、25年後の2045年の高齢化率は37.6%と、3人に1人以上が65歳以上になると推測しております。

 「団塊の世代」の皆様が後期高齢者となる2025年が一つの節目になりますので、特に、高齢者の皆様を支える仕組みとして、医療と介護の連携や、地域での住民同士の支え合い活動が拡がるよう支援しながら、地域包括ケアシステムの体制整備を、引き続き進めてまいります。

 また、超高齢社会の中、市民の皆様がいつまでもいきいきと健康的に暮らせるよう、運動機能や認知機能の低下を防ぐとともに、社会的な関わりを保ち続けるといったフレイル予防を含めた介護予防事業や認知症施策の充実も図ってまいります。

 障がい者施策については、障がい者の皆様を取り巻く地域課題に対して、関係機関がより連携して円滑な対応ができるよう、相談支援センターのコーディネート機能を向上させるために、鈴鹿市障害者相談支援センター「あい」にある基幹相談支援センターとしての機能を強化し、障がい者の方の自立に向けた日常生活支援に一層取り組んでまいります。

 また、昨年度制定した手話言語条例に基づき、障がい者の皆様への理解促進を図るために、手話奉仕員養成講座を開催するなど具体的な取組も進めてまいります。

 医療体制の充実や市民の皆様の健康増進に向けては、一次・二次救急医療機関との効率的な連携を図るとともに、市内の二次救急病院の医療機器施設整備への支援や、各種がん検診の受診しやすい環境を整えることでがんの早期発見・早期治療につなげるなど、関係機関と連携し、安定した医療サービスの確保を図ってまいります。

 さらに、骨髄や抹消血管細胞を提供した方と勤務する事業所に対して助成を行い、骨髄などの移植の推進を図ってまいります。

 また、妊婦期から子育て期までの途切れのない支援を提供するために、子育て世代包括支援の取組を拡充し、疾病等の早期発見・早期治療や、産婦健康診査、産後うつ等の早期発見に取り組むなど、妊娠から出産、乳幼児期における子育てまでの包括的な支援を積極的に進めることで、子どもを安心して産み育てる環境を整えてまいります。

 このほか、ひきこもりや8050問題など、制度の狭間で支援が必要な方への対応として、鈴鹿市社会福祉協議会に相談支援包括化推進員を配置するための支援を行い、市や関係機関等との連携体制を強化することで、誰もが住み慣れた地域で自立した生活を営むための取組を拡充させてまいります。

自然と共生し 快適な生活環境をつくるまち すずか

 SDGsの17のゴールに示されるように、今後は経済的・社会的・環境的な持続性の面でバランスの取れた社会の実現が求められています。

 経済活動の高度化と多様化により、多くのエネルギーが消費され、ごみの排出量抑制や資源化率の向上は、本市においても大きな課題となっております。

 さらに、気候変動の影響が顕著になりつつあり、地球温暖化への対策が喫緊の課題となっている中で、今後、施策を推進するに当たっては、自然環境、生活環境への影響に配慮した対応がより求められています。

 本市では、鈴鹿市清掃センターで2016年度から実施しています基幹的設備改良工事が2020年度で完了しますが、これにより施設の稼働による二酸化炭素排出量を3%以上削減できることとなります。

 また、鈴鹿市一般廃棄物処理基本計画に基づいて、ごみの排出量抑制と資源化を推進することとしており、特に食品ロスゼロチャレンジモニターなど市民の皆様の食品ロス削減に対する関心を高めるための取組などを積極的に行うことにより、ごみの排出量抑制を図ってまいります。

 これまでも関係機関、団体、企業の皆様と連携を図り「COOL CHOICE(クール チョイス)」の趣旨を踏まえて、地球温暖化防止の啓発事業に積極的に取り組んでまいりましたが、更に小学生に対する環境啓発講演会の実施や、環境家計簿の普及啓発を図るなど、引き続き啓発活動に取り組んでまいります。

 環境への影響を配慮しつつ、経済的・社会的な持続性を維持していくために、幹線道路をはじめとする都市基盤の整備については、優先度が高い道路を選定して効率的な整備を進めるとともに、市民の皆様の生活に密着した道路の計画的な維持・管理を行うことで、地域内外への移動の円滑化を図ってまいります。

 また、新名神高速道路三重県区間が開通したことにより、東名阪自動車道から新名神高速道路への交通の転換が進み、東名阪自動車道(四日市JCTから亀山JCT)における10キロメートル以上の渋滞がおおむね解消されたほか、市内観光施設への利用者数が増加するなど観光振興にもつながっており、今後は、地域雇用の創出などが期待されることから、更なる広域幹線道路ネットワークの整備は、本市の経済基盤を支える上でも不可欠な取組です。

 このため、国や三重県と連携しながら、鈴鹿四日市道路や鈴鹿亀山道路などの広域幹線道路の事業化が着実に進むよう取り組んでまいります。

 公共交通については、市民の皆様の移動の確保、高齢者の交通事故防止、自動車交通とのバランスの取れた交通体系の面などから、その重要性がますます高まってきております。

 本市においても、市民の皆様の移動の円滑化を図るために、社会的な持続性を考慮し、総合的な公共交通体系を構築することが大きな課題となっております。

 このため、新たに地域公共交通網形成計画の策定に着手し、本市に相応しい公共交通ネットワークの構築を図るための調査、検討を進めてまいります。

 このほか、鉄道やバスなどの公共交通サービスが受けにくい交通空白地域における移動手段を確保するために、小規模需要に対応した地域主体の新たな交通システムの実証実験や、平田町駅のバリアフリー化支援などにより、誰もが自由に移動できるよう、公共交通の利便性向上に取り組んでまいります。

 都市浸水対策については、近年の地球温暖化などの気候変動による台風の大型化・局地的な集中豪雨の多発、また、都市化の進展による雨水流出量の増加によって、浸水被害の危険性が高まっているため、鈴鹿市総合雨水対策基本計画に基づき、浸水被害が発生している地域の被害軽減に向け、河川や排水路、排水機場などを計画的に改修してまいります。

 また、鈴鹿市上下水道事業経営戦略に基づいて、水道事業及び下水道事業の安定的な運営を図るため、水道事業においては、企業債残高の抑制により将来世代の負担を軽減する一方で、地震などの非常時における水道水の安定供給につなげるために、重要性の高い基幹管路などの耐震化に取り組みます。

 さらに、下水道事業においては、公共下水道の全体計画区域を削減するとともに、個人の合併処理浄化槽の設置整備を促進するための支援を拡充し、公共下水道・農業集落排水処理施設・合併処理浄化槽などの各汚水処理方式の特性等から最適な整備手法を選択して、快適な生活環境の向上を図ってまいります。

活力ある産業が育ち にぎわいと交流が生まれるまち すずか

 本市は、バランスの取れた産業構造を有することが一つの強みではありますが、今後もそれぞれの産業を成長させていく上においては、これまでに培ってきた経験を活かし、更に消費者ニーズの多様化や企業のグローバル化など、時代の変化を捉えた取組を進めていくことが必要です。

 現在、鈴鹿PAスマートIC周辺地域において、民間主導による土地区画整理組合が設立されましたので、今後は事業促進に向けた協力、支援を行ってまいります。

 本年度は、主に関西方面の企業の皆様を対象に、新名神高速道路にアクセスしやすい交通利便性など、京阪神地区に対する優位性などを積極的にアピールするため、プロモーションも兼ねたイベントを展開するほか、企業ニーズの動向を的確に把握するためのアンケート調査も実施し、奨励金制度などを活用して、市外からの優良企業の誘致を図るとともに雇用拡大につなげることも考えてまいります。

 また、人口減少社会において都市を持続させるためには、企業誘致とともに、安定的な雇用の確保が必要です。

 このため、企業版ふるさと納税制度を活用し、若者を雇用した企業に対し雇用支援を行うほか、市内企業と教育機関との連携による雇用マッチング事業などについても引き続き取り組んでまいります。

 農業振興については、流通形態の広域化や国際化とともに、消費者意識の多様化などへの対応がより重要となっています。その中でも、特産物づくりや農林水産物の産地化などを効率的に進めるためには安定した生産力が必要です。

 このため、認定農業者や新規就農者への支援措置を集中化・重点化することで、担い手の確保や経営基盤の強化といった課題に対応してまいります。

 さらには、スマート農業など先進的な農業経営の確立に意欲的な農業者に対し、農業用機械・施設の導入に対する支援を行うなど、効率的な生産力の向上も図ってまいります。

 漁業に関しては、漁港施設の長寿命化対策として、白子、若松、鈴鹿漁港の海岸堤防耐震調査事業を進め、漁業施設の計画的な整備を行うなど、経営基盤の安定化を進めてまいります。

 伊勢型紙や鈴鹿墨といった伝統産業や、観光資源、食などの認知度向上と販路拡大に向けては、首都圏や関西圏のホテルにおいて飲食事業者等に対して効果的なPR活動を行うための地域資源コンシェルジュ事業を進めてまいります。

 また、三十三フィナンシャルグループと吉本興業株式会社との包括連携協定に基づき、「すずか新商品開発プロジェクト」として、市内事業者の新商品開発や商品のブラッシュアップなどの取組を引き続き展開してまいります。

 本年1月には、テストマーケティングを兼ねた観光物産展を東京で、2月には大阪で開催いたしました。

 また、販路拡大のための商談会を3月に東京三重テラスで開催する予定で、引き続き、その効果と課題を検証し、本市の地域資源が持つ魅力を効果的に発信することで、市内産品のブランド力を向上してまいります。

 昨年は、F1日本グランプリが大きな盛り上がりを見せるなど、モータースポーツの聖地である本市にとりましては、明るい要素が多く、この機運を高めるために、引き続きモータースポーツフェスティバルを開催し、関係者との連携により公道パレードなど本市独自の取組を進めることで、モータースポーツに対するシビックプライドを醸成してまいります。

 併せて、SNSなどウェブ上での情報発信も積極的に行いながら、モータースポーツによる交流人口及び関係人口の創出・拡大に向けて取り組んでまいります。

市民力、行政力の向上のために

 以上、申し上げました多くの分野のまちづくりを確実に進めていくためには、市民力と行政力の更なる向上が欠かせません。

 そのために、人権政策、男女共同参画、多文化共生などの基本となるまちづくりを横断的に進めると同時に、市民参画や地域づくりの推進、総合計画を推進するためのトータル・マネジメントによる質の高い行政経営の実現に取り組んでまいります。

 まず、人権政策については社会環境の変化により、複雑化・多様化している人権課題の解決に向けて、学校、家庭、地域社会などと連携した啓発活動を行い、より一層若い世代への啓発活動を推進し、市民全体の人権尊重意識の向上を図ってまいります。

 男女共同参画については、地域の実情に応じた女性の職業生活における活躍の推進が求められています。

 このことから、SUZUKA女性活躍推進連携会議などの場を活用し、ポジティブアクションやワーク・ライフ・バランスを推進するための方策として、意識啓発や、人材育成のための取組を効果的に展開してまいります。

 本市は外国人市民の割合が高く、定住化が進んでおり、加えて、出入国管理及び難民認定法の改正などにより、今後、外国人市民の増加や多国籍化への対応がより重要となるため、外国人市民の方々が地域で生活する上で、日本語習得をはじめとする生活支援のための相談業務などの取組が様々な分野において進展するよう、関係機関と連携した取組を推進してまいります。

 また、2020年度には、13都市が集う外国人集住都市会議が本市で開催され、多文化共生に関わる活動状況などについて発表がされます。
 私も開催市の代表として国の制度等への提言について省庁関係者としっかりと意見交換を行い、本市の課題解決につなげてまいります。

 協働のまちづくりの推進については、市民活動や地域づくり活動など多様な市民の市政への更なる参画を促進するとともに、公共を担う公益的な活動の活性化や多様な主体の協働をコーディネートするための中間支援機能拠点の整備について検討してまいります。

 また、鈴鹿市まちづくり応援補助金制度を拡充し、市民と行政による協働事業を積極的に進めることにも取り組んでまいります。

 地域づくりに関しては、市内全域での28の地域づくり協議会の設立及び地域計画の策定の動きを踏まえ、地域計画に基づく住みよい地域への活動が安定的に進むよう、地域支援職員制度や地域づくり一括交付金制度の拡充を図るなど、主体的な地域づくりを推進するための支援を行ってまいります。

 今後は、地域づくり協議会の皆様との対話を継続的に行い、本市ならではの地域づくりが協働のまちづくりの基礎として定着し、その結果、市民の皆様が地域に愛着を持ち、地域の絆を深めながら互いに支え合い、将来にわたって安心して暮らし続けることができるよう、住民主体の地域づくりをさらに進めてまいります。

 行政力の向上に関しては、人口減少などを起因とする新たな行政課題に的確に対応できるよう、市職員の行政経営に対する意識を一層高めるとともに、業務への姿勢や地域とのコミュニケーション力・企画力・情報収集能力などの政策形成能力の更なる改善に取り組み、成果重視の行政経営を推進してまいります。

 このことから、総合計画を推進するため、計画、実行、評価、改善のPDCAサイクルに基づき、進捗状況と成果を検証するとともに、施策・単位施策と実行計画との妥当性、有効性を見極め、次年度の計画や予算編成、人事評価などを連動させ、総合的に運用するトータルマネジメントシステムによる効率的な行政経営を行ってまいります。

 また、人口減少社会においても市民ニーズに的確に対応できる効率的な行政経営に向け、ICT技術の活用による業務の効率化を進めるために、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)導入に向けた効果、検証を行うとともに、働きやすい職場環境の充実に向けて、職員が健康な状態で働くことができ、仕事と生活のバランスをとることができる職場環境づくりをはじめとした、働き方改革を進めてまいります。

 公共施設マネジメントの取組といたしましては、公共建築物の保有量と運営管理の適正化を進めるために、個別施設計画を作成し、施設の長寿命化や複合化などを計画的に推進してまいります。

 各施設の長寿命化やバリアフリー化等の整備について、公共施設マネジメントの観点から計画的に進めていくとともに、鈴鹿市文化会館の長寿命化改修事業においては、PFI事業の導入可能性検討調査を行い、民間活力の導入といった効果的な手法を検討してまいります。

 財政面では、扶助費などの義務的経費の増大による経常収支比率の上昇が示すように、依然として財政の硬直化が進んでおり、今後も、財政状況はますます厳しいものになると予測されます。

 このため、持続的な行政経営に向けて、財政状況などの情報を市民の皆様と積極的に情報共有するとともに、主たる自主財源である市税収入を安定的に確保することに加えて、限られた財源の下、歳出の平準化を図り、安定的な財政運営を行ってまいります。

2 むすび

 本年度は、総合計画2023の後半に入る年であり、基本構想でめざしている、本市を愛し、住み続けたいと思っていただける市民の皆様の期待に一層応えていかなければならない節目の一年であります。

 鈴鹿市総合計画2023の後期基本計画や第2期鈴鹿市まち・ひと・しごと創生総合戦略に加え、それぞれの分野での個別計画もスタートいたします。

 基本構想では、市民力と行政力の向上により将来都市像の実現をめざすこととしています。
このため、地域づくり協議会の皆様とも積極的に連携を図りながら、効率的な行政経営を行ってまいります。

 これまで進めてきた取組をしっかりと踏まえながら、引き続き本市が未来に向かって持続的に発展できるよう、常にチャレンジしながら、後期基本計画をはじめとした各計画におけるそれぞれの施策を確実に推進してまいります。

 将来都市像の実現に向け、引き続き、市議会の皆様並びに市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

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