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三重県の北勢地方の茶の歴史は古く、今から一千年もの昔、平安時代にさかのぼります。鈴鹿市の隣の、四日市市水沢地区冠山の麓の、飯盛山浄林寺の僧、玄庵が空海直伝の製茶法を伝承し、茶樹を植栽したことが始まりだとされています。これが隣接する鈴鹿市内にも伝わり、鈴鹿のお茶のルーツになったと考えられています。
江戸時代には、参勤交代のため東海道を往来する諸大名が通過の際に茶を買い上げたことで、優れたお茶の産地となりました。ただし、今日のように産業としての茶業の発達は、安政6年(1859)横浜港開港によって、茶が輸出作物となってからのことです。
明治17年には、アメリカやカナダに向けて四日市港から鈴鹿のお茶も輸出されるようになり、また、温暖な気候と西部台地の黒ぼく土壌の耕地条件は茶栽培に適し、その有利性をいかして茶園の面積も増加し、生産拡大が進められてきました。
茶園面積は約900haで県内第1位を誇り、品種は「やぶきた」が主流で、香り高く上質な「煎茶」と玉露の味わいをもつといわれる「かぶせ茶」を中心に製造しています。特に「かぶせ茶」の生産は全国有数の産地で、市の特産品となっています。
また、近年では、てん茶(抹茶)の生産も多くなってきました。
今後の振興策として、大型乗用機械の導入や共同製茶工場の建設などの生産体制の整備を図るとともに、流通体制の確立に積極的に取り組み、県内屈指の茶生産地を守り育てるため、関係者一丸となって努力を重ねています。
近年は、消費者が求める安全で健康に役立つクリーンなお茶づくり(生産履歴の記帳の徹底)や環境にやさしい栽培技術の確立にも懸命に取り組んでいます。
なお、消費拡大を図るため、鈴鹿市と鈴鹿市茶業組合の共同で小学校などで「お茶のおはなし会」を数多く開催しています。
「鈴鹿茶」は、鈴鹿市内で生産された香り高く上質な「煎茶」と旨みのある「かぶせ茶」を100%使用して製造されたペットボトル飲料で、すっきりとした飲みやすさと、極上の旨みが特徴です。
産業振興のため、鈴鹿の特産物として、JA鈴鹿が企画・製造しました。
ペットボトルラベルのデザインには公募作品371点の中から最優秀賞に選ばれた作品を採用しています。また、ラベルの側面には地域活性促進キャラクター「すずか茶ん」が描かれています。